世界的に見てもジワジワと増えてきているウェイブプール。造波装置を用いて人工波を発生させるので、海のない内陸でもサーフィンを可能にするプールです。
そのウェイブプールシーンにおいて、現時点において一般オープンしている商業施設で使用されている造波装置はウェイブガーデン社とアメリカン・ウェイブ・マシン社によるもの。
デモ施設ならばケリー・スレーターのウェイブプールやオーストラリアのサーフ・レイクス社などあるものの、一般オープンには至っていないので、まだまだ造波装置という分野の競争が激化するのはこれからと言えます。
そんな最中、フランス首都のパリにて、総工費2.5億ユーロ(約294憶円)という大規模なエンターテイメント施設「La Vague Grand Paris」の建設が発表され、同施設内のアクティビティの一つとしてウェイブプールがラインナップに。
ここ数年の流れも見ていると、ウェイブガーデン社の造波装置を使用したウェイブプール建設が相次いでいるのですが、パリのウェイブプールは異なります。
パリで用いられる造波装置を開発したのはホワイトウォーター社で、造波装置の名称は「Endless Surf(エンドレスサーフ)」。
ホワイトウォーター社という企業を知らない方が大半だと思いますが、実は同社、1989年に米国フロリダ州のディズニーワールドにあるウェイブプール「タイフーンラグーン」を建設した会社とのこと。
となると、タイフーンラグーンと似たようなファットな波質の人工波となるのかと思いきや、同社のジェフ・チャッターCEOは以下の声明を発表しています。
エンドレスサーフは次世代のウェイブプールテクノロジーを駆使しています。
我々の目標は世界トップの人工波を発生させることであり、初めてサーフィンした時のスリルを出来るだけ多くの人に味わってもらえるような本物のサーフィン経験を提供したいと考えています。
仕様としては、エンドレスサーフ搭載のウェイブプールはハート形のデザインとなり、2ヘクタールのプールで幅は最大で300メートル。
人工波は最長で26秒ライドが可能であり、リアルタイムで人工波のセッティングを変えたり、一度に複数タイプの波を発生できることから、ビギナーからエキスパートまで一緒に楽しむことができるそうです。
さて、商業ベースで考えれば、造波装置で最も重要なポイントとなるのはどれだけの本数の人工波を発生可能かという点に尽きますが、「世界トップの人工波を目指す」とCEOが発言する点に興味を惹かれます。
施設自体のオープン予定は2024年のパリ五輪前を目指しているということで、完成までかなりの時間を要すると思うのですが、今後の動向が楽しみなウェイブプールの一つと言えます。
WhiteWater公式サイト:https://www.whitewaterwest.com/en/