2015年WSL世界チャンピオン、エイドリアーノ・デ・スーザ(33歳、ブラジル)が2021年のシーズンを最後に引退することを発表した。15年間CTで戦ったエイドリアーノは「ブラジリアン・ストーム」の先陣を切った人物の一人で、自身も6度のCT大会を優勝、そして2015年にはワールドタイトルと共に、ブラジル人初のパイプマスターになった。
ブラジルの自宅からオンラインで会見を開いたエイドリアーノは今の心境を語った。
「この決断に至るにはいくつか理由がある。この15年間は自分の人生をサーフィンに捧げて、それだけに打ち込んできた。1000%サーフィンの人生だった。情熱を持たずに大会に出場することはチャンピオンにふさわしくないし、今のサーフィンのエネルギーに合わない。今は他の事をやってみたい。例えばプレッシャーから解放された特別イベントに参加したり、友達とサーフトリップに出かけたいね。」
スラム街出身のワールドチャンピオン
デ・スーザはサンパウロのファベーラ(スラム街)に生まれ、8歳の時に兄が7ドルで買ってくれた中古のサーフボードを機にサーフィンを始めた。14歳で一人で家を出て、プロサーファーの夢の道を歩み始めた。2003年、16歳の時に世界ジュニアチャンピオンになり、パワーとスピードと持ち前の意思の強さで2005年のWQSを制しCT入りを果たした。
エイドリアーノの世界での活躍はガブリエル・メディナやフィリペ・トレドなど次世代のブラジリアン・スーパースターのインスピレーションとなり、2014年にメディナがブラジル初のワールドタイトルを獲得した。
翌年のシーズン終盤にエイドリアーノを含む6人のタイトル・コンテンダーがいた。早めにノース入りしたエイドリアーノは、パイプマスターのジェイミー・オブライエンの指導の下パイプで修業を重ね、見事にミック・ファニング他4人のコンテンダーをおさえブラジル2度目のタイトルと初のパイプマスターを勝ち取った。
「この15年間を祝いたい。世界中でいろんな人とつながり、家族、友人、ファンと共に良い関係を作ったよ。来年のCTツアーに非常に期待していて、特にサクアレマの大会の盛り上がりが楽しみだ。お別れ気分で2021年シーズンを目いっぱい楽しみたいね。」 エイドリアーノ・デ・スーザ
9月18日の「Onda do Bem」に出場
エイドリアーノは、9月18日に行われるWSL特別イベントの「Onda do Bem」にも出場する予定。
「Onda do Bem」は2021年シーズンに向けたプレイベントとして開催されるWSLカウントダウンシリーズの一つ。出場選手の詳細はこれから発表されるが、15人のサーフスターと10人のサーフィン好きな有名人が参加するチャリティーイベントだ。
現地時間の9月18日午後4時から9時に開催され、コロナの影響で観客を入れられないため開催地は非公開で視聴はWSLやYoutubeなどで配信予定。
ケン・ロウズ