常にミステリアスな存在であるトム・カレンがコロナ禍をどこでどのように過ごしていたのか?
答えはメキシコのサーフィン天国で気楽に過ごしていた。
それがRip Curlの新作映像「Free Scrubber」として公開。
トム・カレンといえば、「The Search 」のイメージが強いものの、今回はパロディなシーンもある今までとは違う作品になっている。
そもそも2週間のサーフトリップの予定だった今回のメキシコ。
長年の友人でありボードコレクターでもあるマーク’バグズ’アリコ(彼のInstagram、@buggscollectionを見ると物凄い数のヴィンテージボードが披露されている)とサリナ・クルスの近くに滞在していたが、パンデミックにより国境が閉鎖されてしまい、気がつくとポイントブレイクの目の前に4ヶ月間も閉じ込められていたそうだ。
彼らと一緒にいたオージーのフィルムメーカー、アンディ・ポッツはシンプルにトム・カレンらしさを映像に残すことにこだわった。
オープニングのまるで’ドリフ’のようなずっこけたシーンや、常に楽器の側で音を奏でているシーン。
そして、海に入れば3xワールドチャンピオンの威厳と常に追い続けているクリエイティビティを感じさせる贅沢な構成になっている。
これらのシーンに対して友人のバグズは「あれは台本や演出ではなく、自然な彼の姿だよ」と話している。
ハワイで最も偉大なビッグウェーブ用のガンを作るシェイパーであった父親のパットのDNAを受け継ぐ彼にとってサーフボードデザインに対する実験の興味は尽きない。
最近はチャネルアイランズのブリット・メリックと新しいチャレンジをしたり、スキムボーダーのブラッド・ドンケとスキムボードで遊んでいたりしているようだ。
「Free Scrubber」でも奇想天外なアイディアのボードを乗っている。
それは魅力的なライディングを生涯探求している彼ならではの行動力でもある。
「’サーチ’するには歳を取りすぎたよ」と呟いていた56歳のカレン。
コロナ禍でもサーファーは自由で創造的であるべき。
カレンらしい生き様がここに映し出されている。
(空海)