6月中旬に国際サーフィン連盟(ISA)から発表された東京五輪サーフィン競技の補欠選手の選出方法によると、東京五輪の参加選手の最終エントリーは日本時間2021年7月5日23:59に締め切られたが、その直前の7月1日にISAは五輪資格審査委員会の結果に関する声明を公表した。
五輪フランス代表の補欠候補だったジョアン・ドゥルーはその座を逃すこととなった。
五輪フランス代表争い
先月の五輪最終選考会を兼ねた「2021 ISAワールドサーフィンゲームス」で金メダルを獲得したジョアン・ドゥルー。
しかし、そもそも五輪出場資格は「1カ国男女各2名まで」との人数制限があり、フランス代表は五輪選考選考基準のなかで最も優先度の高い「2019年CTランキング」からジェレミー・フローレス、ミシェル・ボウレズの2名に既に決定していた。
ジョアンの金メダルは五輪フランス代表においては何の効力も持たなかったが、「2019年CTランキング」で3番目のフランス選手だったジョアン・ドゥルーは、ジェレミーとミシェルの補欠選手になれる可能性があった。
しかし、ジョアンは今回の審査委員会により「Eligibility Requirements(出場適格要件)」を満たせず、情状酌量の余地もないと判断されたために、補欠選手の道すら絶たれる結果となったのだ。
五輪出場のための最低参加要件とは
各国の選手が五輪に出場するには、各選考基準(例えば2019年CTランキング)で条件を満たす必要があるが、それ以前に「Eligibility Requirements(出場適格要件)」と呼ばれる出場のための最低参加要件を満たすことが必須だ。
具体的には、選手の国籍やアンチドーピングに関するルールのほか、原則CT選手は選考イベントの一つである2019年と2021年の『ISAワールドサーフィンゲームス』に必ず出場すること等が求められる。
今回はオリンピック代表候補選手(補欠含む)のうち、怪我などの理由でこの最低参加要件を満たせなかった9人のサーファーが審査された。
・コロへ・アンディーノ(USA)
・ジョアン・ディファイ(FRA)
・レオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)
・ジョン・フローレンス(USA)
・レイキー・ピーターソン(USA)
・ケリー・スレーター(USA)
・ジョーディ・スミス(ZAF)
・ニッキ・ヴァン・ダイク(AUS)
【容認されなかったサーファー】
・ジョアン・ドゥルー(FRA)
ジョアン・ドゥルーだけが容認されなかった理由
審査の結果、8人が容認された一方、『2021 ISAワールドサーフィンゲームス』で優勝したフランスのジョアン・ドゥルーは容認されず…。
ジョアンが容認されなかった理由は公表されていないが、彼は出場必須である『2019 ISAワールドサーフィンゲームス』を欠場。大会直前に自身のSNSで「怪我で欠場する」と投稿しているが、その前後に行われたCTイベントには出場していた。
■2019年 ジョアン・ドゥルーの動き
8月21日~9月1日 CT第7戦『タヒチ・チョープー』 9位
9月7日~9月15日 『2019 ISAワールドサーフィンゲームス』 欠場
9月19日~9月21日 CT第8戦『サーフランチ』 17位
▼WSG直前の投稿
ISA世界選手権を欠場するのは非常に残念です。 自分の国の色を掲げたかったのですが、健康上の問題で登録をキャンセルせざるを得ませんでした(背中の怪我と、タヒチのサンゴで足が感染しました)。 次のWCTイベントまでに回復できるよう、私は身体の準備に集中します。これは私のリクオリファイに不可欠です。
▼サーフランチでのジョアン
「Eligibility Requirements」にはWSG出場義務だけでなく、国籍やドーピングなど様々な要件が含まれるため、具体的に何が問題視されたかは明らかではないが、怪我による2019WSG欠場の妥当性が争点となった可能性もある。
ジョアンが容認されなかった理由について、ISA広報担当に問い合わせたものの「審査委員会がどのような結論でこの決定を下したのかは知らされてませんが、委員会は彼の主張を審査しそれは妥当ではないと判断しました」とだけ回答があった。
五輪資格審査委員会の詳細
独立審査委員会が、「Tokyo 2020 Eligibility and Nomination Requirements(東京五輪の参加資格および指名要件)」に定められた最低参加要件を満たさなかった選手について、参加資格を認めるかを審査。
最低参加要件とは、五輪憲章で定められた選手の国籍やアンチドーピングに関するルールを遵守することのほか、例えば2019年と2021年の両方のワールドサーフィンゲームスに必ず参加するなど。
2021年のワールドサーフィンゲームスでは、この要件を満たすためにブラジルやアメリカ代表の一部の選手が大会の序盤だけ顔をだし、R1終了後に会場から去るという異例の出来事もあった。
独立審査委員会のメンバーはISA執行委員会によって任命され、ISA副会長、5度のオリンピック出場者、元IOC委員であるバーバラ・ケンドール議長や、ISAアスリート委員会の委員長のジャスティン・デュポンなどから構成される。
今回は怪我などを理由にこの最低参加要件を満たしていないサーファーが、独立審査委員会にアピールを提出する権利が与えられた。委員会はサーファーの申し立て理由と、関係するすべての要因を考慮した上で、東京五輪に参加する資格があるかどうかを裁定。医学的に証明された怪我や病気が原因で選考大会に参加できなかった場合を含め、すべての情状酌量を考慮。
委員会は9人のサーファーからの申し立てを検討し、彼らの五輪参加資格を判定した。
(THE SURF NEWS編集部)