東京オリンピック・サーフィン競技の会場となった千葉県一宮町の釣ヶ崎海岸(志田下)の現状と、今後の展開についてまとめた。2022年4月には自然公園が完成し、既存の駐車場に加えて更に100台の駐車スペースができる。
志田下の現状
オリンッピクの会場整備のため、2020年冬から段階的に利用規制がかかっていたが、砂浜は五輪終了後の8月10日から既に利用再開し、太東や東浪見側から歩いていけばサーフィン可能となっている。
駐車場や保安林は、大会組織委員会による撤去作業のため、10月30日まで利用規制が続いている。
11月から駐車場の利用再開
10月末までに組織委員会は撤去作業を終え、11月からは駐車場が利用再開となる予定だ。
一宮町企画課によれば、従来のトイレやシャワーは五輪の整備段階で撤去されたため、一宮町が11月からの再開に向けて一時的な措置として簡易トイレと簡易シャワーを用意する。
2022年4月には自然公園が完成
また、2022年4月には、鳥居の南側約1ヘクタールに新たに整備される「自然公園」が完成予定。
オリンピックのために新設されたシャワー・トイレ施設は、11月以降電気・水道の入れ替え工事を行い、来年4月以降使用可能となる。そのほか、駐車場100台分、芝生広場、鳥居から自然公園に続く道も新たに整備される。
完成すれば、既存の駐車場に加え、更に100台以上の駐車スペースが出来ることになる。
自然公園を除く、五輪会場跡地の大部分は千葉県が管轄する保安林に戻され、数万本の植栽が行われる。
オリンピックが無観客開催になったために、全く日の目を見ることのなかった「サーフミュージアム」。この自然公園に活用されるのではなどと噂もあったが、現時点でそのような計画はないという。また、一部では会場跡地に道の駅を作る構想もあるが、これも具体的な計画には未だなっていない。
オリンピック会場の町にどんな“レガシー”が残るか
同町のオリンピック推進課担当者は、「大会前は町内の反対意見を取り上げた報道も目立ちましたが、終わってみれば普段サーフィンをしない町民からも“ありがたい”“すごかった”といった感謝の声や感想が寄せられました。当日は台風だったこともあり“日本でもこんな波あるんだ”など衝撃を受けた人もいたようです」と振り返る。
会場跡地の整備を担当する企画課の担当者は、「五輪を終えて何か町にレガシーを残してほしいと期待する声もあります」と話す。
オリンピックが無観客開催となり、会場内の様子をほとんどの人が見れなかっただけに、町にどのような“レガシー”が残されるのかに期待も高まっている。
国内のトップサーファーが集まる登竜門的なサーフポイントであり、“波乗り道場”とも称される志田下。自然公園が完成すれば駐車場台数もかなり増え、これまで以上に多くのサーファーが集結することになる。これまでのローカルルールや伝統がどのように継承され、また変化していくのか。史上初の五輪会場となったサーフポイントの今後にも注目だ。
(THE SURF NEWS編集部)