11月5日の「世界津波の日」を前に、今週、全国の様々な場所で津波避難訓練が行われている。
11月7日には、日本を代表するサーフエリアの1つ、神奈川県藤沢市でも津波避難訓練が行われる予定だ。当日、藤沢市内の海岸でサーフィンをする場合は、避難行動に協力をしたい。
また、この機会に、その他のエリアでも津波ハザードマップや避難先を確認し、万一の場合に備えておきたい。自分の居住エリアだけではなく、普段よく行くサーフエリアの情報も確認しておくと安心だ。
11月5日「津波防災の日」「世界津波の日」とは?
日本では、東日本大震災発生での甚大な津波被害を踏まえ、津波対策への理解と関心を深めることを目的に、2011年から毎年11月5日が「津波防災の日」に制定された。
更に、日本政府の提案により、2015年からは国連でも11月5日が「世界津波の日」に制定されている。
この日が津波の日とされたのは、1854年11月5日、紀伊半島を大津波が襲った際の「稲むらの火」という逸話に基づいているという。現在の和歌山県広川町の高台に住んでいた濱口梧陵が津波に気づき、収穫したばかりの稲穂を積み上げた稲むらに火を放ったことで、暗闇のなか逃げ遅れていた人々を高台に導き多くの命を救ったそうだ。
藤沢市では11/7(日)に津波避難訓練を実施
藤沢市では、11月7日(日)に地域住民と海浜利用者を対象に津波避難訓練が実施される。
片瀬~鵠沼~辻堂の藤沢市内の全沿岸が対象。
当日は、8時30分、8時40分、8時50分の3回に渡り、片瀬地区(江の島を除く)、鵠沼地区、辻堂地区の防災行政無線で訓練実施の事前告知が行われる。
9時00分に相模湾を震源としたM8.0クラスの大地震が発生したと想定し、9時3分に大津波警報のサイレンが鳴り、「ただいま、大津波警報が発表されました。ただちに避難してください。」とのアナウンスが流れる予定だ。
また、今回の訓練では鵠沼のサーフビレッジ、新江ノ島水族館、片瀬東浜正面の老人ホーム・鵠生園に赤白の格子の「津波フラッグ」も掲出される。
今回は実際のケースを想定して職員の誘導などもないため、訓練当日は大津波警報サイレンや津波フラッグを確認したら、海から上がり、サイクリングロードや護岸付近まで避難行動を行うよう協力をしたい。
NSA湘南藤沢支部も、市からの協力要請を受けて、ブログやSNS等で協力を呼び掛けている。
藤沢市の危機管理課担当者は、「実際に災害が発生した場合はより高台などに避難する必要がありますが、国道を慌てて横断すると危険でもあり、所有物の紛失なども想定されます。そのため、今回の避難訓練においては、海浜利用者は海岸護岸上またはサイクリングロードまで避難をお願いします」とTHE SURF NEWSにコメントを寄せた。
避難訓練の詳細:令和3年度津波避難訓練の実施について|藤沢市
実際の災害発生時は「サーフボードを置いて、近くの高台やビルに避難」
実際に災害が発生した場合には、海から上がるだけではなく、より高台などへの避難が必要だ。
本来なら、津波が来ないところ(=津波災害警戒区域の外)への避難を目指すのが鉄則だが、海から津波災害警戒区域の外に行くには、例えば引地川河口付近からだと1km以上離れる必要がある。
地震発生から津波到達まで10分もかからないと想定されているため、海に入っているサーファーにとっては10分以内に区域外に逃げるのは現実的ではないことも多い。(避難時は、車の渋滞に巻き込まれて車ごと飲み込まれるリスクもあるため、車での移動は厳禁。自転車や徒歩での避難が必要だ。)
そのため、海にいるときに、地震発生に気づいた場合や、大津波警報のサイレンが聞こえた場合、津波フラッグが掲出されている場合は、①とにかく早く海から上がり、②サーフボードは海に置いて、③出来るだけ早く近くの高台や中高層のビルに避難をすることが重要だ。
ちなみに、藤沢市はビル所有者等と協定を締結し、市内に135か所の「津波避難ビル」を指定している。この指定ビルには、市が事前に災害発生時のオートロック解除などを依頼しているため、予め津波ハザードマップなどでこのビルを把握しておくと安心。
その他のエリアでも、この「世界津波の日」をきっかけに、万一の場合に備えてハザードマップや避難先を確認しておきたい。自分の居住エリアだけではなく、普段よく行くサーフエリアの自治体などで防災情報も確認しておくと安心だ。
全国ハザードマップ(国土交通省):https://disaportal.gsi.go.jp/
(THE SURF NEWS編集部)