今日、6月16日は国際サーフィンデー。日本ではまだあまり馴染みのない「国際サーフィンデー」ですが、2005年にアメリカの『Surfing Magazine』と『The Surfrider Foundation』が定めたもので、スポーツやライフスタイルとしてのサーフィンを祝い、発展させることを目的にしているほか、海洋資源の持続可能性について考える日でもあります。
現在、世界的に大きな問題になっているプラスチックによる海洋汚染問題。環境省の調査によると、日本近海に浮遊するマイクロプラスチックの量は、世界平均の約 27 倍あるのだとか。
その問題を解決するため、世界ではビーチクリーンなどの「ゴミを拾う」活動に加え、「ゴミを出さない」ための動きも出てきています。プラスチックによる海洋汚染問題と、それに対する世界での様々な取り組みについて紹介します。
プラスチックの海洋汚染問題
国際環境 NGO グリーンピース・ジャパン の発表によると、毎年最大 1270 万トンものプラスチックごみが海に流れ込み、そのうち海岸に流れ着いているのは5%、海面または海面付近に浮遊しているのは1%。残りの94%は海底に残っているといいます。
つまり、普段ビーチクリーンなどで拾っているゴミは全体のごくわずかな部分で、実際にはその何倍ものプラスチックゴミが海に沈んでいることになります。
さらに、石油由来のプラスチックのほとんどは生分解されず、細かく分解していくだけで、クジラやイルカ、魚など多くの海洋生物がその細かくなったプラスチックを摂取してしまいます。52%のウミガメが海洋のプラスチック片を摂取しているという調査結果もでています。
世界での様々な取り組み
5月27日から6月9日かけてバリ島で行われたCT第4戦『Corona Bali Protected』では、バリ島が抱える深刻なプラスチック汚染問題に提起するため、イベント直前にタイトルが「Pro」から「Protected」に変更されました。
バリ島のビーチに広がるプラスチックゴミの数々は世界の注目を集め、イベント期間中は、CT選手も積極的にビーチクリーンなどに参加しました。
他にも、オランダの高校生が海流を利用して海のゴミを集める装置を考案し、クラウドファウンディングを活用して世界に発信した『THE OCEAN CLEANUP』というプロジェクトも始動しました。
⇒ 太平洋がゴミで埋もれる日~「あなたにもできる」海をきれいにする最小と最大の方法~
世界で広がる「プラスチックフリー」
一方、ビーチや海に広がった「ゴミを拾う」というアクションから一歩進んで、「ゴミを出さない」動きも世界的に広まっています。
WSLの慈善団体WSL PUREは、2017年のトリプルクラウン開催中、使い捨てのコップの使用を抑えるため、ステンレスボトルブランド「Hydro Flask」と提携していました。
使い捨てのプラスチック製品を使用しない「プラスチックフリー」の取り組みは、カリフォルニアのマリブで今月からプラスチック製のストロー禁止条例が施行されたほか、世界中の国・地域・州・地方自治体による規制が始まっています。
▼国・地域・州・地方自治体によるプラスチック規制 2018年6月現在(提供:グリーンピース・ジャパン)
台湾 | 2018 年 2 月、使い捨てプラスチック製品(ストロー、コップ、レジ袋など)を段階的に規制し、2030 年までに全面禁止する方針を打ち出した。 |
イギリス | 2018 年 4 月、プラスチック製ストロー、マドラー、プラスチックが芯の綿棒を禁止する方針を発表。 2019 年から禁止予定。 |
カリフォルニア州 | 2016 年からレジ袋の配布を禁止。 |
フランス | 2016 年 1 月からレジ袋の配布を禁止。2020 年 1 月から使い捨てのプラスチック製カップ・皿の販売を禁止する法が、2016 年に成立。 |
インド | 2018 年 6 月、 2022 年までに使い捨てプラスチック製品を全廃すると発表。 |
イタリア | トレミティ島では、2018 年 5 月より使い捨てプラスチック製のコップ、皿、調理器具、ストローの禁止を発表。 |
欧州委員会 | 2018 年 5 月 28 日、使い捨てプラスチック製品(ストローや皿など)などの規制をはじめ、新しい方針を発表。 |
グリーンピース・ジャパンは、今月13日、使い捨てプラスチック製品を減らすキャンペーン『Trashlessー使い捨てプラスチックで海がいっぱいになる前に』をオンライン上で開始。
使い捨てプラスチック製品の生産・削減に賛同する人々の声を集め、政府や企業に届け、問題への取り組みを後押しすることを目的としています。
以下のサイトからオンライン署名が可能です。
『Trashlessー 使い捨てプラスチックで海がいっぱいになる前に』
日ごろからビーチクリーンをしているサーファーも、国際サーフィンデーをきっかけに、さらに一歩踏み込んだ「ゴミを出さない」ためのアクションをしてみては。
(THE SURF NEWS編集部)