日本の静波にあるサーフスタジアムに搭載されているアメリカンウェイブマシン(AWM)社の造波装置「パーフェクトスウェル」。
同社が先日プレスリリースを配信し、その内容が造波装置の未来に影響を与えるであろう興味深いものとなっています。
まずはプレスリリースの概略からお伝えします。
造波装置「エンドレスサーフ」のサプライヤーであるホワイトウォーター社から弊社パーフェクトスウェルの特許の異議申し立てを受けていました。 その件につきまして、米国特許商標庁(USPTO)による審査が行われ、弊社の特許の正当性が立証され、異議申し立てが退かれる事になりました。 結果的にシークエンスベースのニューマティック(空気圧)テクノロジーにおける弊社の単独所有権を強化することになりました。
ホワイトウォーター社とは、ウェイブプールシーンにおける新勢力で、今後の勢力拡大が注目されていました。
そして、造波装置が人工波を発生させるテクノロジーとしてはいくつかのタイプがあります。
サーフランチはハイドロフォイル、サーフレイクスは水圧×空気圧、ウェイブガーデンが電気機械、そしてAWM、ホワイトウォーター、サーフロックが空気圧。
おそらく誰もが造波装置をイメージした時に思い浮かべるであろうタイプが空気圧だと思うので、空気圧タイプが最も多いのだと思います。
そしてAWMの造波装置が特許でがっちりと守られることになった事が意味するところは、空気圧による造波装置メーカーが今後出てくる可能性が低くなったと言えるでしょう。
空気圧によって人工波を発生させる方法に、さほどバリエーションがあるとは思えないためです。
また、興味深いのが「シークエンスベース」と言う点で、おそらく連続して空気圧をかけて波のパワーをキープする対策だと思います。
どうしても単発の空気圧だと、波のパワーはピークが最大となりショルダーに向かうほどパワーが薄れてくるはず。
となるとロングライド可能な人工波を発生させるには不向きになると思いますが、ブラジルに誕生したパーフェクトスウェル搭載のウェイブプールはロングライド可能ながらもエアセクションが2つもあったりとパワフル。
つまり、空気圧タイプの造波装置メーカーが今後取り組もうと思っていた要素を、早くも抑えてしまった格好になったと言えるのです。
まさに空気圧タイプにおいては勝利宣言とも取れる今回のAWMによるプレスリリースですが、今後の造波装置メーカー争いにどのような一石を投じることになったのか注目です。
(World Surf Movies)