2024年パリ五輪サーフィンの開催地、フランス領タヒチ・チョープーで、環境破壊を懸念する地元住民らの抗議を受け、新ジャッジタワー建設が中断している問題で、ISA(国際サーフィン連盟)が、代替案として望遠カメラを使ったジャッジ方式を提案した。
これまで、WSLで使用されてきた木製の旧ジャッジタワーは安全基準を満たしていないとして、フランス領ポリネシア政府が五輪での使用を禁止。同時に、五輪組織委員会が計画したリーフ上でのアルミ製の新ジャッジタワー建設は、サンゴを破壊する可能性があるとして反対運動が起き、地元の支持を得られていない。
そこで、ISAは技術的解決策して、いずれもカメラを使用するA、Bの2案を提示した。
旧タワーにカメラ設置か否か
A案…リーフ上にある旧タワーの足場にカメラを設置し、審査員は陸のタワーでジャッジ
ISAによると、ブレイクポイントに近い沖合にある木製の旧タワーの足場上に、五輪中継のカメラ3台とオペレーターが配置される可能性があるという。
ジャッジは陸に設置された新アルミ製タワー内の部屋で、大型スクリーンに映し出されたリーフ上のマルチアングル映像を見て審査。リーフ上のカメラ台、ジャッジタワーともに、ブレイクが見られるよう可能な限り高さを出す。また、陸には、全体を見渡す固定カメラを設置する。
B案…カメラをリーフ上に置かず、審査員は陸のタワーでジャッジ
もし、旧タワーの足場が使えなかった場合、代替案として、3台の中継用カメラを陸のタワーの上かその近くに設置する。
高性能の望遠カメラを使用し、ゴルフ中継でも実績があるクレーンやリフトも可能なら導入する。審査員は常に迅速に、中継カメラやボート、水上、ドローンに設置されるカメラにもアクセスできるようにする。
プライオリティ審査員はボートで
ISAはA、Bいずれの案の場合でも、追加の技術的課題として、プライオリティ審査員が、テイクオフゾーンから見える位置でボートに乗り、選手にアナウンスを届ける必要性、メインタワーとカメラをつなぐ通信設備とリプレイシステムの構築を挙げた。
また、高性能望遠カメラとして、富士フィルムの「UA125×8」を例示。
同社のウェブサイトでは「世界最高125倍ズームで4K画質を実現。クラス最高となる広角8mmから望遠1000mmまでの幅広い焦点距離をカバーし、超高倍率ズームと独自の防振機能を実現。鮮やかな色再現でハイダイナミックレンジ(HDR)を活かした高画質な映像撮影を行えるため、スポーツ中継やコンサート・ライブ中継などに最適」と紹介されている。
(沢田千秋)
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