カラム(左)とジェイク・ロビンソン(右), カラム・ロビンソンのインスタグラムより

サーファーが犠牲となった殺人事件

タイヤを盗むためだけに、3人の尊い命が失われてしまった悲劇


今年4月メキシコのバハ半島で3人のサーファーが行方不明になり捜索が続けられていたが、遺体となって発見された。場所はエンセナーダ近郊の井戸の中で、頭部には銃で撃たれた跡があった。すでに3人のメキシコ人が容疑者として逮捕され、事件の全貌が少しずつ明らかになっている。

行方不明になったのはカラム・ロビンソンとジェイク・ロビンソンというオーストラリア人の兄弟と、彼らの友人であるジャック・カーター・ロードというアメリカ人。彼らはピックアップトラックでサンディエゴを出発し、メキシコとの国境を越えてバハ半島でサーフトリップ中であった。4月27日にエンセナーダ近郊の宿泊施設に滞在する予定だったがチェックインが無く捜索が開始され、3人のメキシコ人が誘拐犯の容疑者として浮かび上がり逮捕された。

容疑者はジーザス・ジェラルドとそのガールフレンドのアリ・ジゼル・ガルシア、そして弟のクリスチャン・アレハンドロ・ガルシア。彼らは行方不明者たちの携帯電話を所持していて、警察がその電波を追跡して逮捕に至った。

カラム・ロビンソン

3人の遺体が発見されたのはエンセナーダ市近郊で、彼らが予約していたロサリトのエアビーアンドビーから約2kmのところにある井戸の中だった。遺体の頭部にいずれも銃痕が確認された。また彼らが乗っていた車、白のシェビーコロラドは事件現場のサント・トマスで焼け焦げた状態で発見されている。

バハ・カリフォルニア州のマリア・ラミレス検事によると、3人組は被害者たちの車のタイヤを盗むつもりだったが、彼らが抵抗したために暴力的な状況に陥ったと説明している。しかし車の残骸にはホイルが残っているので強盗説には疑問が残る。論理的に考えれば強盗が失敗してパニックになり3人を殺害して井戸に遺体を遺棄し、証拠隠滅のために車を燃やしたと考えるのが妥当だと思われる。

ジェイク・ロビンソン

サンディエゴと隣接するメキシコのバハ・カリフォルニア州はトドスサントスなど波の良いことで有名だが、また治安が悪いことでも知られ、グアナファト州に次いでメキシコで二番目に殺人件数が多い。(2023年)

被害者の一人ジェイク・ロビンソンは医師で、サンディエゴに住むカラム・ロビンソンを訪ねるために2週間前にアメリカに入国していた。カラム・ロビンソンはアメリカに住みラクロスのプロ選手になるのが目標であった。またジャック・カーター・ロードはサンディエゴ出身で2012年に衣料品会社を興し、グアテマラのサッカー国内リーグで選手としても活躍。8月には結婚を控えていた。

犠牲者となった3人が乗っていたピップアップトラック Photo: Baja California Attorney General’s Office

ロビンソン兄弟の両親であるマーティンとデブラはサンディエゴで声明を発表した。「カラムとジェイクが殺害されたというニュースを受け入れるのにはたいへん辛い心境です。心は傷つき、この世界は暗闇となってしまいました。これから二人を親戚や友人のもとへ、そしてオーストラリアの海へと連れて帰ります。どうか彼らをみなさんの思い出に留めて、強く生きそして輝き、愛することを忘れないでください」

追記、同事件で犠牲者となったジャック・カーター・ロード氏の写真は入手できませんでした。故人の冥福をお祈り申し上げます。

カラムロビンソン氏のインスタグラムより 兄弟のジェイク(左端)そして両親のマーティンとデブラ

(李リョウ)

blank

「国内外サーフィン界の最新トレンド・ニュースを読み解く」をコンセプトに、最新サーフィンニュースをお届けします。

この記事に 関連するタグ

※当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等を禁じます。