成田空港で出迎えた大勢の人々と記念撮影する稲葉玲王 Photo:Chiaki Sawada

パリ五輪5位タイ、稲葉玲王が帰国!五輪は「人生で一番楽しい試合だった」

パリ五輪のサーフィン競技で5位タイでフィニッシュした稲葉玲王が6日、帰国した。成田空港では、地元の千葉県一宮町などから来た大勢の応援団が出迎えた。

稲葉は終始笑顔で、囲み取材に応じ、五輪を「サーフィン人生で一番楽しい試合だった」と回顧。大会中の自身のベストウェーブには、世界王者、ブラジルのフェリペ・トレドと対戦したラウンド3の1本目、サーフボードがへし折られた巨大なチューブを挙げた。

「宝物になる経験」

帰国後すぐに囲み取材に応じた Photo:Chiaki Sawada

Qオリンピックを振り返って

本当に初めてのオリンピックでメダルには一歩届かなかった。本当に悔しいですけど、宝物になるような経験ができたので、日本代表として戦えたことを誇りに思います。

Q一宮町のみなさんを含めた日本からの声援はどのような力になったか

本当に今まで感じたことないようなすごい応援だったんで、本当に力になったし、期待に応えられずメダルを見せることができなかったのが本当に悔しいです。

Q金メダルとともに一生に一本の波に乗ることが目標だった

一生に一本っていうのも叶わなかったかなというのが悔いとして残っちゃいました。

Qオリンピックで一番印象に残ったことは

やっぱりタヒチっていうすごい波のところで、オリンピックという一番大きな大会でサーフィンできたということが一番の印象。

タヒチに”オリンピック感”はなし!?

Q今後の目標は

まだちょっと考えたいなとは思いますけど、もちろん今後ロスオリンピックもあるし、いろいろ考えながら。今回はすごい経験ができたんで、自分の競技人生もそうですし、あとは次の日本のサーファーのジェネレーションにバトンを渡していきたいという気持ちです。

Qオリンピックとはどういう大会だったか

なかなか特別な大会にはなったと思います。

Qちなみにパリからは遠く離れていたが、パリオリンピックというのは感じられたか

やっぱそれに関しては、オリンピック感が全然なかったかなっていう感じですね(笑)

日本育ちのサーファーとして

満面の笑みで帰国 Photo:Chiaki Sawada

Q子供たちにどんなサーフィンを見せられたと思うか

やっぱり今回、男子(の代表)では日本で生まれ育った選手は1人だったんで、そういう意味で、結構日本の底上げというか、みんなに夢とか希望を与えたいという気持ちでずっとやってきたんで、それが少しでも見せられたら嬉しいなと思います。

Q今日帰って、まずしたいことは

お風呂に浸かりたいです。

「勝っててもよかった」

Q日本で唯一の準々決勝進出。準々決勝のライディングは納得するものができたか

1本7点台のライディングがあって、あの海の状況の中でチューブライドで決められたっていうのは、すごい良かったと思うし、あとは、相手の選手が技で点数出したんですけど、いつもの基準的にはチューブに(もっと点数が)出るかなと思ったんで、そこは勝っててもよかったんじゃないかっていう気持ちもありますけど。でももう1本乗れなかったというのが敗因になりましたね。

Q悔しさもありつつ、清々しさもあるか

やっぱり本当に今回メダルを取る自信もあったし、メダル取れるチャンスもすごいあったので、やっぱり本当に悔しいです。この1年半ぐらい、これにかけてきたので。すごい悔しいです。

Q今大会のベストウェーブは

ラウンド3でのフェリペとのヒートの1本目に、ワイプアウトしたんですけど、あの日、朝の一番最初に入ってきて一番でかいセットに乗れたっていうのは、すごい良かったです。

小川直久のヘルメットで安心感

小川直久と同じヘルメットを着用しタヒチでの五輪に挑んだ稲葉 Photo:ISA / Beatriz Ryder

Q故小川直久さんと同じデザインのヘルメットで臨んだ心境と効果は

本当に直さんが今までやってきたことだったりとか、オリンピックに向けてずっとやってきたことを引き継いで、というか、少しでも引き継げたのであれば嬉しいなっていうのと。やっぱりあのヘルメットがあることによって、自分の安心感とか、すごいもらえたので、本当に感謝しています。

Q準々決勝でチューブライディングが決まった時の気持ちは

来たなと思いましたけどね。もうずっと波見てて本当にチューブがないような状況だったんで、1本チューブに入れば絶対勝てるなっていう、試合前からそういう作戦もあったんで。あれ乗れた時は本当に、ちょっと勝ったなって若干思っちゃってましたね。

Q拳を突き上げていた

本当みんな、船の上からチームメートも応援してくれてたので。みんなに向かってアピールしてました。

「今までで一番楽しめた」

時折、悔しさをにじませる稲葉 Photo:Chiaki Sawada

Qオリンピック代表として日本を背負った重圧は

びっくりくりするぐらい今回は緊張感がなかった。サーフィン人生で初めてっていうぐらい試合やってる時が、めちゃくちゃ楽しくて。それがリラックスできて、ほんとに楽しめた。今までで一番、試合でサーフィンを楽しめた。

Q得たものは

まだ戦えるなっていう風には思いましたけど。でもやっぱり、ああいう場での緊張感、少しはあったと思うんで。そういうプレッシャーとか緊張感の中でも、リラックスして楽しむことの大事さっていうか、ほんとサーフィンやってきてよかった。

田中樹コーチも笑顔 Photo:Chiaki Sawada

Q田中樹コーチから、稲葉選手は自分の乗る波を決めていたと聞いた

この1年ぐらい何回も(タヒチに)通って、いろんなコンディションでやって、試合期間中になかったようなもっと大きい波も練習で入ってたし、ああいう最後みたいな、ちょっと波が小さめの時も。そのコンディションが一番やってたんで、ポジションだったり、波に対しての安心感がすごいあったので、それが自信に繋がってうまく試合に影響していたかな。

タヒチは波との勝負

Q相手の選手は気にならなかった

ほんとタヒチは波との勝負というか、海と一体化できるかみたいな感じなので、本当に相手は全然関係なくて、波さえ来てくれれば決められる。

Q準々決勝でヘルメットをかぶっていなかったのは

波が小さくなった時に、最後のチューブ抜けるところが小さくなると、頭が当たっちゃうんですよ。ヘルメットかぶってると、より波を受けて、こけやすくなっちゃうので。本当はかぶりたかったんですけど、練習の時にそれで、何回かこけちゃって。これはもうしょうがない、なしでいこうと。

Q準々決勝、残り数秒でセットが来た。なぜ行かなかったのか

世界で一番3点出すのが難しい波だと思うので。ちょっとポテンシャルなかったかな。

Q応援してくれたみなさんへのメッセージを

本当に一宮町、千葉、そして日本ですごいたくさんの方に応援していただいて、それが本当に力になったので、応援ありがとうございました。ちょっと期待に応えられず、申し訳ないんですけど、今後とも頑張っていくので、応援よろしくお願いします。

囲み取材後、NSAの佐藤正麗穂副理事長(右)から花束を受け取る稲葉 Photo:Chiaki Sawada

(沢田千秋)

▼パリ五輪サーフィン特設ページ

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