時にその場にいるサーファーよりも過酷な条件に置かれることがある水中カメラマンはニッチな職業である。
ハウジングを付けたカメラは想像以上に重く、更に高価なカメラが壊れるリスクも少なからずあり、ランドショット(陸のカメラマン)のカメラマンに比べて圧倒的にハードルが高い。
水中での動きは予測困難であり、波のパワーはしばしば人間の想像を超える。
水中カメラマンは、サーファーと波の動きを正確に読み取る能力に加え、自分の安全を確保しながらカメラを操作するスキルを磨かなければならない。
これは、フィットネスレベルの高さや波の理解だけでなく、時には命懸けの判断力が試される場面もある。
しかし、水中カメラマンでしか撮影できない特別なアングルは、陸上からでは決して捉えられない躍動感を伝えることができ、撮る側も見る側も魅了されるものがある。
だからこそこの仕事に情熱を注ぎ、時に人生を変えるインスピレーションを見るものに与えている。
その水中カメラマンの中でも世界一イケてると言われているのが、カリフォルニア出身のダミア・ドーシーだ。
元プロサーファーでもある彼は現在バリ島を拠点にしており、チャングーのDeus内にあるDorsey’s Barbershopを営みながらカメラマンとしての活動を続けている。
Dorsey’s Barbershopは日本でも近年流行しているバーバースタイルの理髪店で、今までバリ島になかった髭剃りを売りにしている。
元々、カリフォルニアのカールスバッドでヘアサロンを経営していた彼はサーフトリップのために訪れたバリ島で自分の髭を整えたくてショップを探したが、求めていた場所がなく、それなら自分でやってみようと思い、Deusの親友にプレゼンしてDorsey’s Barbershopを開業したそうだ。
彼が仕上げるスタイリングはDeusのイメージそのもので、長髪から短髪にしてしまう人も多いとか。
チャングーという場所柄、常連は外国人、バリニーズを問わず、ジョン・ジョン・フローレンスやタジ・バロウも訪れるほどの人気店になっている。
ダミア・ドーシーの世界観
フィルム時代からサーフィン雑誌「Transworld Surf」のために撮影していたダミア。
CTを追って世界を飛び回っていた時代もあった。
雑誌としての利益を考え、CTの中でもアメリカ人が特に興味を持つハワイ、フランス、タヒチを主に選んでいたそうだ。
必ず訪れていたハワイのノースショアは特別で、フィルムの36枚という条件の中、命がけでケリーの特別なバックドアの写真を残したこともある。
現在は雑誌の仕事から離れ、サーフィン業界からも少し距離を置いているが、写真に対しての情熱は変わらない。
フィールドはバリ島だけではなく、世界中。
彼の作品は青い空と青い海、大自然。
眺めているだけで気分が高揚するような世界観が特徴である。
(空海)