15年前は幅が広いボードやロッカーが緩いボードを持って海に入ろうとしたら、きっと周りのサーファーに笑われたことだろう。しかし、最近はフィッシュやミッド・レングス、左右非対称のアシメトリーのサーフボードでさえ見かけるようになった。こういったオルタナティブボードが普及してきたのは既存の枠にとらわれない、型破りのシェーパーのおかげだ。斬新な企画で知られているStabmagがオルタナティブボードだけを紹介するシリーズElectric Acid Surfboard Testをプロデュース。第3弾が発表されたところで、企画の概要や過去優勝ボードを紹介しよう。
Electric Acid Surfboard TestのAcidは俗にいうLSD。ボードのデザインもスプレーも見るからにサイケデリック。しかし企画自体は絶大な人気を築いているStab in the Dark(STID)のフォーマットをそのまま流用。一人のサーファーがシェーパー不明の様々なボードを試乗し、お気に入りの一本を選ぶ。
デーン・レイノルズのお気に入りはライアン・バーチ
第1回のテストライダーはデーン・レイノルズ。シェーパーはメイヘムやチャネル・アイランズのメジャーブランドからオルタナティブ専門のタイラー・ウォーレンまで10名。
舞台はメキシコのポイントブレイクで10日間かけてデーンが選び抜いたのは、左右非対称で斬新なフォークノーズを誇るまさにオルタナティブな一本。シェーパーはサンディエゴのライアン・バーチ。若干29歳でシェープ歴9年のバーチは、アシメトリーの代名詞として名を世に知らせた型破りのシェーパーだ。
ステファニー・ギルモアはサイモン・ジョーンズのツインフィン
第2弾のテストライダーは優美なスタイルで知られている7度のワールドチャンピオン、ステファニー・ギルモア。小さい頃からコンペ専門だったギルモアが20代前半になって初めてオルタナティブのボードに乗り、世界観が変わったと言う。
そんなステファニーが東アフリカを舞台に12本のボードを試乗し、お気に入りがバイロンベイ出身サイモン・ジョーンズがシェープした深いチャンネルが特徴のツインフィンに決定。
ノア・ディーンは型破りなピーター・シュロフの1本を選択
そして第3弾。テストライダーは普段は6’1”のスラスターしか乗らないことで知られるオーストラリアの若手スター、ノア・ディーン。スタイルやパワーからよくデーンに比べられるノアは今回ハワイのノースショアでテストライドしたオルタナティブボードの中から一番興味をくすぐったのはニューポートビーチのシェーパー、ピーター・シュロフの一本。
パンクバンドを聞きながらチェーンソーでサーフボードをぶった切ってるので知られるシュロフは型破り以外の何物でもない。巨匠デール・ベルジーなど50年代のシェーパーにインスパイヤされたシュロフが作るボードはすべてラウンドノーズ。「ノーズはとんがってる必要はない。こっちの方が安全だろう?」と理にかなった一面もある。
Electric Acid Surfboard Testの第1弾、第2弾はすでに無料公開されていて、第3弾は現在iTunesで購入・視聴可。オルタナティブボード好きはもちろん、良く分からない、これまであまり興味が無かったという方にも、一度は見て欲しいシリーズだ。
ケン・ロウズ